クリエイティブ・クラス的仕事術

「クリエイティブ・クラスの世紀」を読みました。

クリエイティブ・クラスの世紀

クリエイティブ・クラスの世紀

著者が述べる「クリエイティブ・クラス」という概念は少々わかりにくいのですが、既存の「職種」のカテゴリーとは異なる見方で、専門知識を活用して高い付加価値を生み出すような仕事に従事している労働者をさしています。ですから、建築家から、プランナーから、アナリスト、エンジニア、医師まで、非常に多くの職種が含まれています。また、必ずしも従来のホワイト・カラーに限定していないので、「カイゼン」を行っているブルーカラーも範疇に入るとしています。さらに、経済発展の主力はクリエイティブ・クラスが担い手であり、彼らがどれだけ集まっているかが、その地域の経済発展の度合いに直結していると述べています。
著者のフロリダ教授のこの主張は、現在起きている事実を、「クリエイティブ・クラス」という枠組みの中で整理したという意味で、それはそれで興味深いのですが、それ以上にグローバル化の中での仕事のあり方、やり方、考え方を提示している点で、読んでいると自分の頭が整理されてゆく様な感覚がありました。
それは、やや陳腐な表現ではありますが、グローバル化の中では、人は働く(住む)場所、地域、国を自由に選択できるし、すべきであるということです。確かに、「フラット化する世界」の中では、どこにいてもネットワークを使って仕事ができ、コラボレーションが可能で、リアルな場所の意味合いは弱まりました。しかし、個人が実在している地域の様々な特性、例えば文化に関連する寛容度などによって、住みやすさ、働きやすさに大きな差があるのも事実です。
かつてはアメリカがオープンな姿勢によって、世界中からクリエイティブ・クラスを集めていましたが、近年は閉鎖的な傾向が強まり、他の国にその地位を譲りつつある、そしてそれが経済的な発展に影響を与えつつあると、著者は述べています。その端的な例として、ニュージーランドで作られた映画「ロード・オブ・ザ・リング」をあげています。
私自身はネイティブ言語が日本語のため(笑)、簡単には住む国を変えたりできませんが、もし、英語をマスターしていたら、他の国に住むことも十分に選択肢に入ると思います。
本書でも勉強のため、仕事のために別の国に移り、そこで成功を収めた例が多数出てきますが、自分も可能であればそうするだろうと、非常に現実感を持って読みました。
皆さんはどう思われるでしょうか。