ドラッカーを皆に読んでほしい
「今まで読んだ本の著者の中で、最も尊敬する人を一人上げよ」
こう問われたら、私は迷うことなくドラッカーと答えます。世界の多くの経営者やコンサルタントが彼から教えをもらっている、まさに「経営の神様」。経営というものを初めて一つの知識体系として確立した方です。去年惜しまれながら亡くなられてしまいましたが、どれだけ多くの企業が、彼の教えによって成果を上げ、どれだけ多くの人が、彼の言葉に示唆を得て問題を解決したことか。社会に対するその貢献度たるや、言葉で表すことができません。
私の友人の中には、「ドラッカーは古い」などと言う人もいるのですが、決してそんなことはないです。ドラッカーの論点の中心には常に「人」があり、彼が一番言いたいことはいつも、普遍的な事なのです。
第一次世界大戦の頃から90年以上生きてらっしゃった、このおじいちゃんの何がすごいのか。私が最も感銘しているのは以下の点です。
- 本質をずばり射貫く
- 現実的かつ、実践的である
- 全ての中心は「人」である
私が一番最初に彼の本で読んだのは「プロフェッショナルの条件」でした。
プロフェッショナルの条件――いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))
- 作者: P・F.ドラッカー,Peter F. Drucker,上田惇生
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2000/07/01
- メディア: 単行本
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例えばドラッカーがヴェルディのオペラを効いたときの話があります。
「プロフェッショナルの条件」98ページ
十九世紀の作曲家ヴェルディのオペラを聴いた。1893年に書いた最後のオペラ「ファルスタッフ」だった。
今日では「ファルスタッフ」はヴェルディの作品の中でもポピュラーなものの一つになっている。しかし当時は、ほとんど上演されることのない作品だった。歌手にとっても、観客にとっても、難解すぎるとされていた。
私は圧倒された。 <中略> 私は調べた。信じがたい力強さで人生のよろこびを歌いあげるあのオペラは80歳の人の手によるものだった。18歳の私には、80歳という年齢は想像もできなかった。80歳の人など、ひとりも知らなかった。平均寿命が50歳そこそこだった70年前、80歳は珍しかった。そして私は、すでにワーグナーと肩を並べる身でありながら、しかも80歳という年齢で、なぜ並はずれてむずかしいオペラをもう一曲書くという大変な仕事に取り組んだのかとの問いに答えた彼の言葉を知った。
「いつも失敗してきた。だから、もう一度挑戦する必要があった」。
私はこの言葉を忘れたことがない。それは、心に消すことのできない刻印となった。
こんな感じです。いかがでしょうか。「だから、どうした」、と思われるでしょうか。
私は仕事の中でいろいろ迷ったりしたときは、ドラッカーの一連の作品を読むことが多いです。「うん、うん」と頷きながら。すると、もちろん気のせいなのですが彼がこう語りかけてくる気がするのですね。
「行け、自らの道を進め」
と。
プロフェッショナルを目指す、全ての方に読んでほしいです。
彼が直接書いた本ではないのですが、ドラッカーの言ったことを編纂した、おそらく最後の「作品」がこちら。
- 作者: エリザベス・ハース・イーダスハイム,上田惇生
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2007/06/01
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