「レミーのおいしいレストラン」は素晴らしい映画だとおもう

レミーのおいしいレストラン (ディズニーアニメ小説版)

レミーのおいしいレストラン (ディズニーアニメ小説版)

すでに様々な方が、雑誌で、ブログで推薦しているこのアニメ映画をDVDで見ました。
とても感動しました。
嗅覚と味覚にとても優れた能力を発揮するシェフになりたいマウスが、料理の才能は無いけれど、憎めない性格の見習いシェフとタッグを組み、その夢を成し遂げる物語です。非常に荒唐無稽なストーリーですが、素晴らしいグラフィックと、しっかりした脚本の力により、完成度が高く自然に心が温まる映画に仕上がっています。
主人公のねずみは、周りの仲間に「おまえは所詮ねずみなのだ」とたしなまれつつも、どうしてもシェフになる夢を捨てることができない。様々な障壁に途中何度もくじけそうになるのですが、そのたびに彼は自分自身の気持ちの体現でもある著名なシェフの亡霊に励まされ、乗り越えてゆきます。そんなはぐれものの彼を最初は奇異の目で見ていたねずみの仲間や人間達も、彼の情熱と能力に揺さぶられて、一致団結して協力してくれる様になります。
クライマックスは非常に意地悪な料理評論家に、彼が入魂の一品を出す場面なのですが、そこで饗される料理は何とラタトィユ、日本語では野菜うま煮とでも言うのでしょうか、様々な野菜を煮込んだ家庭料理なんです。
実はこの料理、私の大好物でもあります。ただ煮込むだけなので、見てくれはあまり良くないですが、沢山の野菜のうまみが凝縮されて、本当においしい一品です。私が妻の作る料理で何が一番好きかと聞かれたら、間違いなくラタトィユと答えるでしょう。映画では、それをかなりアレンジして、洗練された一品に仕上げています。
料理評論家は、こてんぱんに批判してやろうと手ぐすねを引いて待ちかまえているのですが、一口食べたとたんに、自分の子供の頃に母親が作ってくれた料理のおいしさと感動が蘇ってきて、批評しに来ていることも忘れてしまいます。ある意味料理の原点、おそらく愛情(料理そのものに対する愛情、料理を食べる人に対する愛情)ではないかと思うのですが、それを小さなシェフに突きつけられ、悟ったということでしょうか。このあたりの描写は凄く良いですね。
感動と同時に、観る人に様々なことを思い起こさせてくれる、奥の深い素晴らしい映画です。