「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」を観てきました。

私としては正直そんなに良い映画だとは思いませんでした。でも不思議と印象に残る作品なんですね。それは喉元から鮮血がほとばしるどぎつい描写とか、初めてジョニー・ディップが歌ったとか、ティム・バートンの映像センスが凄いとかそんな事じゃなくて、やはりディップと競演のヘレナ・ボナムの存在感と演技が凄いのです。

パイレーツ・オブ・カリビアンのとぼけた演技も良いけれど、ディップの真骨頂は今回のような「何かにとりつかれた」様な鬼気迫る人物なのではと思います。しかも、役になりきり方が凄い。役者本人を全く感じさせない、別人になりきるレベルが非常に高く、ディップが演じていることをすっかり忘れさせてくれるだけの説得力があります。
私は役者と常人を隔てている最大のポイントは「まなざし」の力だと思うのですが、その点でも本当に素晴らしい。目にトッドが乗り移っているかの様です。一方目ぢからという点では、ボナムの方も負けてはいません。この彼女は普段の写真でははっきりいって化け物タイプ(失礼!)ですが、映画の中ではその瞳の力により魔性の様な美しさを醸し出しています。彼女のメイクもそれを最大限生かすものになっていますね。
この二人が醸し出す独特の世界がこの映画をささえています。ですから、映画の中盤で二人がウエスト・コーストの様な明るい海岸に座っている想像のシーンがあるのですが、周りの雰囲気にあまりにかけ離れたその姿が、とても滑稽で笑えます。
好きな映画じゃないんだけれど、興味が尽きない映画です。

稲垣吾郎ちゃんはなんで変装がうまいんだろ

そんなこんなで、ふと稲垣吾郎ちゃんのことを思い出しました。テレビ番組の中でスマップのメンバーがよく「パロディ」ドラマをやりますが、キムタクや他のメンバーは誰を演じていても、かぶり物などでおもしろおかしく変装していても、やはり本人のカラーが前に出てしまっているのですが、彼だけは「あんた誰ー?」というほど変わってしまうんです。
吾郎ちゃん自身が完全に後ろに隠れてしまう。
一番驚いたのは彼が「堅井堅」とかいって平井堅の物まねをするパロディがかなり前にありましたが、この二人顔のつくりが全然違うくせに、「うり二つ」に感じられるくらい、上手に変装していました。パロディーで吾郎ちゃんが歌っている時に後ろから平井堅本人が登場するのですが、(彼がそれに気がついてあたふたするのがおかしい)それでも区別がぱっと見ではつきにくい程。
吾郎ちゃんの顔のつくりが、あまり濃くないせいでしょうか? 才能なんですね。